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哀しい話

副題 <某ネットニュースを見た私の「心の呟き」を備忘録的に>

<<パイプオルガンの無いコンサートホールでサン・サーンスの3番を、
然も招聘オーケストラに演奏らせるとか、通常有り得ないだろう
金さんの心労、と言うか
さぞかし哀しくて悔しい想いをして居るだろうな、と思う
其処は本当に気の毒としか言いようが無い>>

済みません
今回の話題は可成り暗くて、正直嫌な話です
表題は <「オルガン」の哀しい話> にしようかとも思いましたが、
一番悲しい思いをしているのは誰か、と考え「哀しい話」になりました
そうです、敏い方はもう気付かれたか、と思います
人によっては読まない方が良いかも知れません

サン・サーンスの3番とは「サン・サーンス交響曲第3番、オルガン付き」の事です
「交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」(Symphonie n° 3 ut mineur op.78, avec orgue)
文字通り「オルガン付き」の曲で、可なり有名な楽曲であり、また歴史に名を残す様な名曲でも有ります
此の曲の主役は「オルガン」と言っても良い、そんなちょっと変わった交響曲でもあります
因みに、サン・サーンスの交響曲は此しか聴かない人も結構居るのでは無いでしょうか
実は、私もそんな1人なのですが

其のサン・サーンスの3番を、肝心のパイプオルガンの無いホールで演奏させようとした国が有る訳です
然も、海外の招聘オーケストラに、ですよ
更に言うなら、サン・サーンスの母国、フランスのオーケストラに、です
「フランス放送フィルハーモニー管弦楽団(Orchestre philharmonique de Radio France)」
もっと種明かしするなら、指揮者は「チョン・ミョンフン」(韓国人)です

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「鄭 明勳(Myung-Whun Chung)」
此の組み合わせでは、最後の来韓公演になるのだそうで(なんでも、彼自身の契約が2015年までだそうで、後任は既に決まっているとの事)、件の某国主催者曰く
「世界的な評価が高い彼の3番を『どうしても観客に聞いて貰いたかった』」
との言う事での、チョイスだそうです
嗚呼、もうぅ 何をか況んや、ですね  ー"ー;

因みに、興味の無い事柄や人物は全く知らないのが猫叉なので、実は此の人のパーソナリティは全く存知上げませんでした
其所で一寸Google先生とwiki君を呼び出して尋ねた所
彼自身は、ジュリアード音楽院の出身ですし、パリ・オペラ座(バスティーユ歌劇場)の初代音楽監督を務めたりしていますから、実績は可成り有る方のようです
まぁ、ロスフィル時代のジュリー二さんのアシを努めて居た様ですから、実力の方もあるのでしょう
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カルロ・マリア・ジュリーニ(Carlo Maria Giulini)
只、個人的には全く興味の湧かない演奏者なのですけれどね ^^;
此の人の演奏はYouTubeに結構上がっていますから、幾つか聴いてみたのですけれど、好きでも嫌いでも無い、が正直な感想です
まぁ 理由は大体見当が付きます
猫叉は、所謂フランス系とは相性が悪いんですよ
バレンボイムしかり、パリ管しかり、ドビュッシーしかり、そして此のサン・サーンスしかり、、、orz
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「ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)」
唯一の例外が、ラベルとブーレーズですかね
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「ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez)」
彼の人は、フランスでの評価が高いらしいので、ま、さもありなん… と
そう思った次第

本題に戻ります

元々パイプオルガンは、非常に高価な楽器です
然も、メンテナンスを含めた維持管理が非常に難しい上に、半端無く金喰い虫な厄介極まる特殊な楽器です
最近は電気式ですが、それでも色々と厄介で特殊なモノである事には変わりありません
更に言うなら、リサイタルや一部の宗教音楽と特殊な楽曲を除けば、殆ど活用されない超マイナーな楽器でもあります
楽器と言う物は、道具の一種ですから使わなければ意味が無い
意味が無いだけなら良いのですが、使わないとどんどん劣化していきます
ですから、楽器のクオリティを保つには「定期的」に「使う」必要が出て来ます
そう言う事情もあって、本格的なパイプオルガンを備えたホールは日本にもそう沢山は有りません
因みに、猫叉の地元なんか今の音楽専用大ホールが出来るまでは、一部の教会を除きパイプオルガン自体が無かった位です
然も教会に有るパイプオルガンは大概が簡易版です
例えるなら、アップライトピアノと同等のレベルです
其れすら、ン百万(多分総額で千万円近い)は優にする筈です
私の在学中に母校が新築の教会にパイプオルガンを導入したのですが、
其の当時で確か、楽器本体が400万前後、設置調整費に100万以上掛かったと記憶しています
其れでも、正直可成りちゃちく思った物です
なんと言いますか、アップライトピアノの更に簡易Ver. みたいな感じですかね
それでも一応「本物」のパイプオルガンですから、其れなりの音でしたし、割りと聴けた物です
で、件の某国ですが
此のパイプオルガンが無いホールに彼等を呼んでどうしたか、と言うと
電子ピアノ、つまりはエレクトーンでお茶を濁した様です
此って指揮者やオーケストラだけで無く、観客自身が演奏をボイコットしても良いレベルの話だと思います
と言うか、普通の開催国でこんな事をしよう物なら、ブーイング処かとんでもない事になります
個人的にはパイプオルガンが無いのであれば、無理にサン・サーンスの3番をする必要は無いと思っています
他にも良い楽曲は幾らでもありますから
何故敢えて此を選ぶ?
ネットニュース記事(1時ソースである朝鮮日報確認済み)によると、
サン・サーンス交響曲第3番「オルガン付き」は、此のミョンフン自身の「十八番」であり「世界的な評価が高い」ので『どうしても観客に聞いて貰いたかった』と主催者側が宣って居るそうですね
正直「絶句」しましたよ
此は、件の指揮者にも、招聘したオーケストラにも、ひいては観客をも馬鹿にした話でしょう
エンペラー(ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第5番)を演奏って貰うのに、
世界的に評価の高い名だたるピアニストへ、玩具同然のピアノを与え「何でも良いから弾いてくれ」「弾いてくれさえすれば良い」と言うのと同じ事です
普通に拒否されるし、招聘受け付けて貰えなくなるだろうし、観客もそう言う主催者の開催するコンサートには2度と行かなくなります
どうしてこう言う「外面」だけを整えて強行するかなぁ  
結局、そう言う事を1度でもやってしまったら「信頼」と言う一番大事で大切な物を失う事になるだけなのですが、、、

某国の惨状は予想の遙か斜め上を行くようです

確かに過去にもオルガン付きをオルガン無しで演奏った事例が有ります
有名なのは、カラヤンがベルリンホールのオルガンの音色(残響)が気に入らず、有名な大教会のオルガンを別取りして後から合わせたと言う事、でしょうか
カラヤンは或る意味開拓者ですから、結構いろんな試みをして居るのですが、残念ながら余り芳しい評価は得られて居ない様にも思えます
件の「オルガン付き」も酷評されてますしね ^^;
後は、ホールの都合や演奏者側の都合などで「オルガン」を「オルガン以外」で演じた事例もあるそうですが、何れも可成り特殊で突発的な事例です

それにしても、此の一件には一寸腑に落ちない事が有るのですよ
好き嫌いは別として、と言うか、私的にはカラヤン並みに関心が無い、が此のミョンフンに対する評価なのですけれどね ^^;
ミョンフン自身は1流の指揮者ですし、実績も評価もちゃんとある人なんですね
然もフランスから称号貰っている位の所謂「権威」ですし
そんな人が「オルガンの無いホール」で3番を演奏る事を承諾するだろうか、、、と
前述しましたが、パイプオルガンと言う楽器は可成り特殊です
他の楽器と一番違う点は「移動が出来ない」事ですかね
此の楽器の移動移設は基本、不可能です
其れには2つの理由があります
1.物理的にデカイ
然も可成り繊細な楽器ですから、分解して再度組み立て治したら其れはもう厳密な意味で言うと「別のオルガン」になってしまいます
2.設置されて居るコンサートホールとワンセットになって居る
通常パイプオルガンを設置する場合は、設置を前提としたホールの設計から始めます
つまりは、オルガンを置く事が大前提でホールの設計がなされ、施工建設が進む訳です

前述のカラヤンは、其の本拠地であったベルリン・フィルハーモニーのオルガンの残響が、後からオルガン本体が付け足されている為、ホールに合っていないと言う事実が気に入らなかった
だからこそ、此の楽曲を録音する際はわざわざ別の教会のオルガンを別撮りして後からミキシングした、と、そう言う事の様ですね
其れ位、繊細と言うか厄介な楽器なのですよ、アレは

余談ですが、
セルは、セヴァランスホールのパイプオルガンを 「壁に塗り込め」 て「仕舞い込んで」居ます
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何か気に入らなかったんでしょうね ^^;
師匠は完璧主義者ですから、使えない物は使わない人です
そして恐らく「何時か使う日が来るかも知れない」と思うからこそ、解体して外すのでは無く「壁に仕舞い込んだ」のだと思います
事実、後年、此を別の指揮者が再建し、今ではオルガンが弾ける状態に成って居ます
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ああ、もしかしたらカラヤンはセルの「真似」をしたのかも知れません
なにせ、崇拝していたようですから ^^;

閑話休題

他に特殊な理由としては
A.維持管理には専門家と可成りな資金が必要
万事においてこんな調子の楽器ですから、当然素人やホールのスタッフで手に負える様な代物ではありません
其れなりの専門家と其れを維持する管理費が必要となって来ます
因みに日本には、何人か其方方面の名職人さんが居まして、欧州の有名な教会にあるオルガンを復活させた事でも有名ですし、修理調整の第1人者もいらっしゃいます
B.オルガニストと言う専門の演奏者が必要
演奏台を見ると判りますが、非常に弾くのが難しい楽器です
簡潔に言うのなら「誰にでも、は間違っても言えない」楽器と言う事ですね ^^;
何しろ手鍵盤だけで3~5段、足鍵盤が30鍵か32鍵、他にペダルだのスイッチだのノブだの山盛りなんですよ
具体的にはこんな感じです
Broadway3_2 Christmas12_2  
此を電子ピアノ(エレクトーン)で弾け、と言う事が如何にオルガニストを侮辱した発言であり、行為であるか、少しはお解り頂けたでしょうか

こう言う事一切をミョンフンが知らない、判らない筈が無い
にもかかわらず、オルガン付きを演目にした理由が判らないのです
其所のホールに「オルガン」が無いのは知って居た筈です
ふと思ったのは
主催者が「有る」と言ってしまったのかな? と
或いは「借りられる物」「仮移設出来る物」と思って居たのか
どちらにせよ、実際に現場に来てみたら「無かった」と言う、普通では有り得ない事実が判明し、事此処に居たって初めてオルガニストから苦情が出た
と言う辺りが真相でしょうか
演目を替えようにも主催者側が許さなかったのでしょうね
どちらにしても、無知であり愚行であり恥でしかない話だと思えるのですが

実は此の1件、もう一つ面白い事実が有ります
此です

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2013年9月30日(月) 19:00 開演
ラヴェル: 組曲「マ・メール・ロワ」
    : ピアノ協奏曲 ト長調
サン=サーンス: 交響曲第3番 ハ短調 「オルガン付」 op.78
指揮チョン・ミョンフン
出演ピアノ:アリス=紗良・オット
フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団

おそらく演目変更が出来なかった理由が「此」だと思われます
件の韓国公演は9月25日ですからね

因みにサントリーホールには立派な「パイプオルガン」が有りますし、可成り日常的にオルガンの演奏会が開かれています
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まぁ、此処まで判ると何と言うか、溜息しか出て来ません
気の毒ですが、もう2度と彼等が韓国を訪れる事は無いと思います
と言うか、断言出来ます
ヘタをすると世界中のオーケストラと指揮者、演奏者達から公演拒否を喰らう可能性があります
と言うより、其の可能性の方が高いのでは無いでしょうか
此はそれぐらい「非礼」な事なのですよ

其の辺り、当事者であるミョンフンは元より、学生時代に大変お世話になった金さんも、
(経緯は過去日記「或る指揮者の想い出」を参照下さい
今でも彼と当時の仲間達と演奏ったベートーヴェンは私の誇りです)
本当に口惜しくて哀しい思いをしていらっしゃるのでは無いかと、そう思えてなりません
其の想いが冒頭の「心の呟き」になります

其れと、可成り嫌なニュースを目にしてしまいましたので一寸滅入って居ます

北朝鮮が金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の夫人、李雪主(イ・ソルチュ)氏の不祥事を隠蔽するため、銀河水管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)芸術団の団員9人を、8月に公開処刑したと、日本の朝日新聞が最近脱北した北朝鮮高官の話として21日付で報じた。 (後略)
SEPTEMBER 22, 2013 23:17 ソース「東亜日報」
(因みに両楽団とも解体された様です)

此処に出て来る「銀河水管弦楽団」とは、此のミョンフン自身が随分力を入れて支援して居たオーケストラなんですよね
もうぅね 、流石に彼が気の毒で、、、

こう言う事もあって、
「両朝鮮とも一遍滅びてしまえば良い」
とか、余り感心出来ない呪詛の言葉の1つも吐きたくなって居る猫叉です

嫌な話題で済みませんでした
どうしても書いておきたかったのですよ
長文失礼致しました

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