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花と軍鶏

先月のとある金曜日
急に思い立って「石川県立美術館」に行って来ました
実の所「急に」思い立った訳では無くて、其の2週間程前から「行こう」と心密かに決めて居たのですが、まぁ、色々と諸事情が許さなくてですね
結局、例によってギリギリになってしまい、追い詰められてから「ああもう!」となったと、、、^^;
ま、そう言う事ですな
何時もの事ですw

で、何をしに行ったかという言うと、日本画を観に行って来たのですね
この方の絵です
「田中一村」

この方の絵を知ったのはNHKの「日曜美術館」です
「美と風土(2)黒潮の画譜 異端の画家 田中一村」という放送が切っ掛けでした
其の画家の生涯と共に強烈な印象を受けました
一番最初に虜になったのは、矢張りと言うか、な此方
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     「アダンの海辺」

私の記憶ではずっと「アダンの木」だったのですが、近年一村本人の書き付けが見付かり、表題が「アダンの海辺」に変わったようですね
此は一村本人が「閻魔大王へ手土産」と言い、「例え100万円積まれても手放しません」と言っているように、文字通り「命を削って描いた絵」なのです
実はNHKの日曜美術館で取り上げられた後、地元で小規模ながら作品展が開かれまして、その際実物を目にしているし、今回も無論「逢って」来た訳ですが、作品に添えられた説明書きを読むまで、この絵に落款が無いのに気付きませんでした
そう指摘されて改めて絵を見ると、確かに落款処か署名もありません
本人曰く<完成した時には精も根も尽き果てており、とても名を入れるだけの力がなかった>そうです
その後<何時か折を見て名を入れる積もり>だったものが結局そのまま「閻魔大王の手土産」になってしまったと言う事のようです
この絵の凄さと言うか、凄まじさは矢張り実物でないと伝わらない物がありますね
画面だけだと単に綺麗な絵、とか写真みたいな絵、なのですけど
実物は何というか物凄い「気迫」がありましてね
観る者を虜にする、と言うより、取り憑かれる、と言った方が正しい、そんな力があります
今回本当に久し振りに「アダンの海辺」に逢ったのですけど、此方が”大人”になった性か、以前ほど妖しい魅力は感じなかったです
寧ろ、淡々とした一村の意志と言うか、彼の住まう境地の様な物が伝わって来ましてね
不思議な感覚でした
相変わらず「彼方」へと誘う力は物凄い物があるのですが、何と言うか、とても穏やかなんですよ
久し振りに覗いた「アダンの海辺」は、とても凪いだ静かな処でした

で、今回、私を石川県立美術館に駆り立てたのは此の「閻魔大王の手土産」では無く、此方です

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「花と軍鶏」

前回の作品展には来なかったんですよ
元々が襖絵なので無理からぬ処ではあったのですが
今回、美術館で作品展が成されると言う情報に接した時に、真っ先に確認したのが展示作品名です
すると展示作品群の中に私が長年恋焦がれて来た「花と軍鶏」が在るじゃないですか!
此は何としてでも金沢まで観に行かねば!!
と成った訳です
兎に角この絵だけは現物を見たかったんです
何と言っても此の「眼」に初見から(画集なのに)やられてましてね

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此の軍鶏牡はどうしても実物と対峙したかった

で、遙々逢いに行って来たと、まぁ、そう言う訳です
感想ですか?
良い眼でしたよ
ふむ、此奴に惚れ込んだのは間違って居無かったわ
えらく上から目線で申し訳ないのですけど、そう言う眼でしたね ^^
色々と力を貰った気がします
後、図録では気が付かなかった事が在りました
画面の右から左へと「季節が移る」んですよ
時の流れをも現して居るんですね
さり気なく描かれた右下の蕗の薹とか、左隅の赤蜻蛉とか
飽きる程この絵を見てきた筈なのに何も観えていなかったんだな、と反省させられました
ああ、此だから絵に逢いに征くのは止められません

改めて想うのは、自分の変節ですね
彼の絵は、私が最初に彼の絵を知った時から「変わって居ない」筈ですから、好みの絵が変わるとか、受ける印象が変わると言うのは「私が変わった」事に他ならないんですね
変わったのは私であって絵では無い
其の辺り色々と感慨深いと言うか、個人的には複雑な思いもあります
なんですかねぇ
一言で言えば「歳喰って丸くなったんだな」ですかね
若干其の後に「orz」が入るのは内緒ですw

で、「歳喰って丸くなった」私が今回観に行って一番気に入ったのが此の絵です

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   「奄美の杜 1」

否、此の絵は前の作品展の時にも絶対眼にしていた筈だし、図録にも載っていますから何度も観ている筈なんですけどね
一番此の絵の前で「対話」している自分が居ましてね
我ながら「歳喰った」なぁ、、、と(笑

今回は前回の作品展と違ってスケッチは展示されていませんでした
私的には、彼のスケッチは物凄く衝撃を受けた「絵」の1つなので、是非もう一度観たかったのですが、美術館での展示会と言う性質上やむを得ないのかも知れません
その為にも、何時の日か「田中一村記念美術館」に行きたいと思っています
さて、その時には一体どの作品が私の琴線に触れ、私の変節を告げてくれるのでしょう
其れは其れでとても楽しみです
或る意味自分を験されているようで

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