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或る指揮者の想い出

マイフレさんにコメントを返していたら、懐かしくなってしまって、、、^^;
「絵になる人達」を絶賛校正中なのですが、此方を先に上げます

私が所属していたオーケストラは、大学の学生オーケストラです
で、まぁ女学校だったんで、当然女ばかりのオーケストラに成る訳ですよ
或る意味非常に珍しいかったです、当時はw
此は今でもあると思うのですが、当然正規メンバーだけじゃ足りない訳で、演奏会にはエキストラという形で学外から賛助を呼びます
通常は地元の音大関係者から来て貰っていました
後はOG(OBの女性版)ですね
彼女達には演奏会後に少しだけ謝礼を払います
ま、音大生のアルバイトみたいな物です
これ以外に、指揮者と音楽顧問だけはプロを依頼します
ウチは女ばかりだった性か、ま、色々と他にも援助の手はありました ^^;
懇意だった某地元工科大学のオーケストラメンバーも、イザと言う時はあれこれ手伝って(主に本番での力仕事w)くれていたしw
其れでも通常は自分達だけで行動していましたけどね

で、そんな女ばかりのオーケストラに来て下さったプロの中で、Kさんと云う当時若手指揮者だった方が居ました
Kさんは在日3世で、お話を伺う範囲ではなかなかの苦労人でした
両親は彼を教師にしたかったそうで、音楽の路を行くと云ったら 速攻勘当されたそうです ^^;
なので、学費も何もかも独りで工面した、と仰有っていました
その性か、物凄く温厚で真摯で優しい人でした
所謂アマチュアの学生オーケストラですから、演目の楽曲に対しても当然技術的に追い付けない所とか、アンサンブルがgdgdで聴くに堪えない所とか、まぁ色々と演奏会本番に向けてのハードルが高い訳です
そう言う、出来ない箇所とか上手く行かない所を、彼は私達と一緒になって考えてくれるんですよ
どうしたら「本番で聴けるようになれるか」って
彼に怒られたことや怒鳴られたことは一度もありません
何時も穏やかで、でも的確な指示や指導をしてくれる、とても優秀な方でした
演奏会後に打ち上げと称し、旅館を借り切って皆でワイワイ騒ぎながら徹夜で飲み明かすんですけど、其の席には指揮者の方もお呼びします
で、その際に色々と世間話や昔話、苦労話なんかをお伺いしたんですけどね
指揮者って本当に大変な仕事なんだなぁ、、、と、あの時痛切に思いました
Kさんは東京に自宅(マンション)をお持ちだったそうなんですが、兎に角、年に数回しか其所へは帰れないと ^^;
一年中、世界各地を飛び回っているから ”彷徨えるオランダ人”みたいだよ、と笑っていました
私達が「世界中に行けていいですね」
と言うと
「空港とホテルとホールしか行き来しないから、他は全然判らないけどね」
と言う返事が返って来まして、当時はとても意外に思った物です
可成り後世になってから、私もキャットショーで彼方此方出向くようになってはじめて、此の時のKさんの ”実状”を身をもって知ることになりました
うん、其の通りですね
会場とホテルと駅、しか見ない、知らない、判らないのは ”観光”じゃないですね ^^;
「仕事だから現地に着いたらホールに缶詰、寝る為だけにホテルに帰って、仕事が終わったら直ぐ飛行機で次の場所へ移動するから、他の処なんか見ている暇無いんだよ」
と笑っていました
「然も大概夜しか外に出ないから、折角外国に行っても景色も観られないし、、、」
とも ^^;;
仕事(ま、私の場合ショーも趣味何で仕事ではないのですけどねw)と言う物は随分シビアな物なんだなと感じたものです
「だから、こう言う打ちあげは本当に楽しみなんだよ。 みんなと色んな事をゆっくり話せるからね」
と嬉しそうに仰有っていたのが印象的です

指揮者って見た目、格好いいですからね
憧れる気持も良く解ります
私でも憧れますから ^^
只、今は個人的にオーケストラでContraBass弾いていたい人になってますけど ^^;
実際の指揮者ってこんな風に目茶苦茶3Kな職業なんですよw
実際問題として女性の指揮者が殆ど居ないのは、まぁ世界的にまだまだ女性の地位が、、、
と云うのも正直あると思います(特に欧州とか中東とか)が、一番の要因は体力的に辛い、と言うのが大きいのでは無いかと思っています
今の指導者がどうかは知りませんが、Kさんの師匠は超スパルタで有名な人でしてね
齋藤秀雄」と言います
所謂「サイトウ門下」なんですよ、彼
色々逸話をお伺いしたのですけど、まぁ単純にスゲェな!と ^^;
こんなお話を伺ったことがあります
指揮者ってピアノが必須なんですけどね
其のピアノのレッスン時に、不備や気に入らない箇所があると、黙っていきなりピアノの蓋を ”思い切り”閉めるのだそうです ^^;
いやいやいや、其の状態で万一指挟んだら普通に指が”折れます”って ^^;;
「だからね~。 何時も真剣勝負というか、何時閉められるかとピリピリして胃が痛かったよ」
って、否、K先生、ソコは穏やかに笑って云う場面じゃないでしょ!
と其の場にいた全員に突っ込まれていましたね ^^;;;
でも、そんな私達に、Kさんは
「指を挟まれて、例え其れで指が折れたとしても(斎藤)先生の指導が嬉しくてね。 レッスンが楽しかった」
と、そう懐かしそうに語ってくださいました
彼は齋藤秀雄門下と言っても可成り後の方の人なので、直接指導はそんなに数多く無く、其れがとても残念だったとも仰有ってみえましたね
そう言う人です、Kさんは  ^^
まぁ翌年来た通称「タワケモト」が余りに酷い野郎だったので、余計Kさんの人格者振りが際だった、、、と言う事実はありますけどねw
ま、此奴の話は胸くそが悪くなるので、又別の機会に

可成り後日になって、此のKさんを激怒させたオーケストラが居る、と云う噂が部に流れて来ましてね
一寸した騒ぎになったことがあります
「え? Kさんがタクト投げつけたぁ?!」
「何処よ其れ?! 有り得ない! 一体誰が何をしたの??」
みんな悪いのはオーケストラだと思っている事実に、その場にいた全員が一寸笑っちゃいましたけどw
で、どこそこのオーケストラだよ、と具体的な名前が追加で流れて来た時に
「ああ、さもありなん! 彼処ならやりかねん。 つーか、Kさん、やっぱり全然悪くないわ」
と、”www”付きで一件落着したと云う逸話があります ^^;
Kさんが怒ったという話を私達が耳にしたのは、本当にこの1件だけですね
彼は当時地元のアマオーケストラを何カ所か掛け持ちで受け持っていましたけど、大体皆の彼に対する評価はこんな具合でしたから、私達だけ贔屓にされていたと言う事ではないと思います
まぁ女ばかりなので少しばかり他所より「優しかった」という事実はあったようですが(笑
当時、懇意だった某地元の工科大学オーケストラの連中曰く、Kさんの指導は「結構厳しい」そうでしたからw

しかし、Google先生とwiki君って優秀ですねぇ
物凄くアバウトな検索なのにちゃんと出て来ました ^^;

Kさんこと「金洪才」さんです

画像もあった 
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懐かしいなぁ ^^
丁度此の写真の頃、指導を受けていたんですよ

思い切り昔話になっちゃいましたね
ま、偶には良いかなw

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コメント

>ananさん
キムさんは本当にいい人でした ^^
小柄で痩身な方でしたけど、声が良く通り指導や指示が物凄く分かりやすくて、何もかもが初心者だった私には本当に有り難かったです
あれから何十年も経ってしまいましたが、或る意味指揮者の有り様って本当はこう言うところにあるんじゃないかな? と思うこともあります
機会が有れば何時か又オーケストラでお逢いしたい方です ^^
 

投稿: LIN | 2012年9月21日 (金) 05時53分

LINさん、若い時に良い指導者に巡り会え、幸せですね。
でもその先生も、若い時に良い指導者と巡り会っていたんですよね。
うーん、こういう幸せのバトンタッチって、あるんだなぁ。

投稿: anan | 2012年9月20日 (木) 21時30分

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