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「大勢で演奏(や)る」ワケ

そろそろネタが尽きて来たので、オーケストラ噺の補足をしようかと思っていましたら、先日の日記にマイフレさんがこんなコメントを残して下さいましてね

<<しかしクラッシックってどうしてあんなに楽器がいるんだろうって不思議に思いますよ。
わたしもPCで音楽作って遊んでますが(ミクみたいなの)
楽器は増やすと音に厚みが出るってのはわかりますが
しかし楽器多すぎw >>

ああ、そう言えばそう言う事って余り考えた事無かったなぁと ^^;
大勢で演奏るのが”当然”だと思っていましたから、疑問に感じた事なんか無かったんですよね
云われてみて「成る程」と
で、私なりに色々考えてみました

クラシックが大勢なのは、1つの楽器の音量が決して大きくは無いから、と言うのも大きな一因なのではないでしょうか
ContraBassなんか基本、音量ありませんから1台だけだとありとあらゆる音に負けます
処が、例えば、此れが8本集まると結構な音量になるんですよ
楽器が集まる事で”力”になれるんですね
何と云うか、楽曲に対して「発言力」が付いて、存在感が増すんです
後、ピアノコンチェルト(協奏曲)なんかだと、素人ではピアノ1台に簡単にオーケストラが”負けて”しまいます
何気にピアノって音デカイですからね
現役時代に一度演奏ったんですけど、まぁ、半端無い破壊力でした
10戦0勝10敗!
全敗と言うか、惨敗ですね
一方的にボコられて終了! みたいな感じです ^^;
楽器の種類が多いのは、まぁ、長い歴史と無関係ではないと思います
モーツァルトやハイドンの時代に比べると、ストラヴィンスキーやベルリオーズの時代には、より沢山の所謂”特殊楽器”が存在しています
楽器も道具の1つですから、当然、進化し、物によってはどんどん特殊化していきます
其れは仕方の無い事です
本来の楽器では出ない音とかを追い求めていくと、新たに楽器を造り出さなければならなくなりますからね
フルート1つとっても現代では
「ピッコロ・Piccolo (in C)、フラウト・トラヴェルソ・Flauto traverso (in Do)、フルート(コンサート・フルート)Flauto (in Do)B、フルート・ダモーレ(テノール・フルート)・Flauto tenore in Si♭ o La 、アルト・フルート・Flauto contralto in Sol、バス・フルート・Flauto basso in Do、F管 バス・フルート・Flauto basso in Fa、C管 コントラバス・フルート(C管 オクトバス・フルート)・Flauto contrabasso (in Do)、F管 サブ・コントラバス・フルート(F管 ダブル・コントラアルト・フルート)・Flauto subcontrabbasso in Fa、C管 ダブル・コントラバス・フルート(C管 オクトコントラバス・フルート、アルトフルートinG、バスフルートinC、コントラバスフルートinC、バスフルートinF、フルート(inC)」by.wiki

Flutes_3

と、こんなにあったりします ^^;
当然、作曲家としては自分の感性に合いさえすれば、此等の”特殊楽器”を使うのに遠慮はしません
時代が進むにつれてオーケストラの編成が大きくなり、大掛かりになり、楽器の数も増えて行くのは、或る意味進化でもありますから、やむを得ない側面はあるかと思います
事実、楽器の種類が増えれば明らかに”色”は増えますからね
園芸の世界でも次々と新種が造り出されて居るような感じ、と言えばお解りに成り易いでしょうか
新しい種は多彩で多様な可能性を秘めていますが、時として時代に淘汰されます
只、単に淘汰されるのではなく、其所から又新しい可能性に発展していく事もありますから、新しいモノは何時も色んな希望や展望を秘めています

確かに個人的にはシンプルな物への憧れは強いですけど
何と云うか、雑味だらけで煩悩まみれの、全く洗煉されていない”何じゃ此は!?”的なストラヴィンスキーが大好きだったりします ^^;ヒドイイワレヨウダナ

まぁ、確かに色んな意味でシンプルではありません
複雑で面倒で厄介な物
其れがクラシックです

そんな「複雑で面倒で厄介な物」の中でも、筆頭で「厄介」なのが「アンサンブル」です
アンサンブルとは何かと言うと
「アンサンブル (ensemble) とは、音楽用語で2人以上が同時に演奏すること。」by.wiki
と有りますが、まぁ、オーケストラの場合、簡単に言うと「揃って演奏する」と言う事です
此が云うほど簡単じゃないんですよ~ ^^;
例えば、ContraBassが8人居たとします
何か楽曲を演奏する際重要なのは、其の存在感と主張ですから、此の8本がちゃんと揃って弾いて居なければなりません
バラバラだと”力”が分散しますからね
此は何もContraBassに限ったお話しではありません
各楽器がそれぞれのパートでちゃんと纏まって居なければなりません
でもって、当然ですが、楽器毎だけでなくオーケストラとして全体が揃わなくちゃいけない
つまり、楽器毎に揃えるのを横軸とするなら、オーケストラで揃えるのは縦軸です
此の縦と横がきちんと揃って始めて綺麗な音、スコア(総譜)に書かれた通りの音が出て来ます
只、此の”揃う”が実は一番大変だったりします
100人が「一糸乱れず揃う」、、、此こそがプロの仕事となるワケです
私の好きな「セル/クリーブランド管弦楽団」は此の「揃う」が完璧な事で有名なんですね
此を私達は「鉄壁のアンサンブル」と呼んでいます
まぁ、彼等の場合、曲によっては神掛かっていますから「芸術」と呼ばれてしまうのですけれどね

更に面倒なのは只単に揃えりゃ良いって物ではない事でしょうか
其の辺りのバランスはもう指揮者の腕次第です ^^

後、何でしょう
楽器にも其の時其の時の機嫌みたいモノがあって、不機嫌な時の楽器は本当に扱い辛いです ^^;
音は出ないわ、鳴らないわ、云う事聞いてくれないわ、、、で文字通り悪戦苦闘します
だから道具と云うより、実際は「相棒」みたいな感じですね ^^
毎回演奏する時、練習する時等の前に調弦するんですけど、あれは正に”ご機嫌伺い”です
本番前は舞台裏で機械を使って調弦(チューニング)をするんですけど、通常は”音叉”を使います
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通常は「442hz(A・ラの音)」を使うんですけど、私が愛用していたのは「443hz」です
私が弾いて居たContraBassは”新品”だったので、兎に角音が出ないんですよ
仕方が無いのでどうしても力任せにバリバリ弾きますから、直ぐに弦が緩んで音が下がっちゃうんですね
だから予め少し高めに調弦して使って居ました
もうぅね
音叉で「A」出してチューニングする時は、正に
「は~い、今日のご機嫌は如何かな?」
状態です ^^;
で、ご機嫌が宜しいと
「おっしゃあ! 征くぜ! 相棒!!」
に成れるんですけど、
ご機嫌が悪いとですね、もうぅね、
手を変え品を変え、脅したり好かしたり、大変です ^^;;
まぁ弦楽器と云うのは本体が木製ですから、どうしても気候に影響され易いんですよ
湿度温度には敏感に反応しますね
湿った時には湿った音しか出ないし、乾燥して居ると乾いた音しか出ません
弾く人間側の気持ちやテンションなんかも影響します
そう言う画一的じゃない面白さが、クラシックには随所にあって、それが又本当に楽しいんです
只、プロは違いますけどね
常に正確に弾けなければなりませんし、アンサンブルも完璧じゃないといけない
100回演奏したら100回成功しなければならない
其れがプロです
でも、そう言う私達から見れば、超人の様な人達でもやっぱり人間の集団ですから、ライヴで転けたり音がへよったりします
そんな処も又楽しいんですよ ^^

参考動画に何を張ろうかとyoutubeをウロウロしてみました
成るべく特殊楽器や編成の大きさや、アンサンブルの大変さが判る物を選んだつもりだったのですが、、、
例によって趣味に走ったようです ^^;
特に「火の鳥」!
私、こんなに楽しそうにストラヴィンスキーを振る指揮者(ひと)を始めて観たかも知れません ^^;;
2人ともストラヴィンスキーにしては、大人しすぎる嫌いはあると思いますが、判り易くて明快な音造りをしている様に思います

「Stravinsky: Petrushka / Rattle · Berliner Philharmoniker」

<Stravinsky: Russian Dance from Petrushka / Sir Simon Rattle, conductor · Berliner Philharmoniker / Recorded at the Berlin Philharmonie, 10 June 2010>
演奏・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮・サイモン・ラトル

「Stravinsky's Firebird Part 1 (Inferno Dance) MTT」

<The Sanfransisco Symphony under Michael Tilson Thomas play Stravinsky's "The Firebird".>
演奏・サンフランシスコ交響楽団
指揮・マイケル・ティルソン・トーマス

まぁ何もわざわざアンサンブルや楽器を観るのにストラヴィンスキーは要らないんですけどね ^^;

んじゃま、ふつ~に”派手”なので〆ましょうか (笑

「Bruckner: Symphony No. 8 / Mehta · Berliner Philharmoniker 」

<Anton Bruckner: Symphony No. 8 / Zubin Mehta, conductor · Berliner Philharmoniker / Recorded at the Berlin Philharmonie, 17 March 2012.>

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コメント

有難う御座います ^^
ラトルは素直で判り易い音造りがとても素敵な指揮者ですね
なかなか良い演奏だと思います

ああ、ピアニストでいらっしゃいましたか ^^
>出されたピアノで弾くのは大変
このお話、以前読んだ山下洋輔さんのエッセーで知りまして、ああ成る程!と思った記憶があります
そうですよねぇ
楽器を持ち歩くわけには行きませんからねぇ、アレばかりは ^^;
その点、でかくてかさばる難点はありますけれど、ContraBassは持ち歩けますから、ギリで、、、(汗
現役時代はどこに行くにも担いで持ち歩いていました
今思うと信じがたいのですけど、平気で地下鉄の階段とか上り下りしていましたね
何時か自分の楽器が欲しいのですが、其の時の移動は多分「車」になると思います ^^b

投稿: LIN | 2012年9月12日 (水) 04時52分

オーケストラの説明、ありがとうございました。
よくわかりましたよ。
ラトル+ベルリンフィル、いいですねー。

私の練習しているピアノも、湿度に敏感です。
雨の日と晴れの日と、全く違う音がします。
自宅で練習の時、自分で調律は出来ないので、
諦めて弾くしかないのですが、気持ち悪いです。

ピアニストは基本楽器を持ち歩かず、そこにあるのを
弾きこなすのが、他の楽器奏者と違うところです。

出されたピアノで弾くのは大変ですが、私のような
そそっかしい人間は、楽器を忘れるリスクがない
という利点があります。

コントラバスなんか、帰りにちょっと寄り道なんて、
絶対出来ないですよね。それとも宅急便?

投稿: anan | 2012年9月11日 (火) 18時01分

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