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其れはある意味、奇跡なのかも知れません
此は一寸した昔話と、つい最近実感した「感覚」のお話です
何回かに分けて触れていますけど、私は学生時代コントラバスを弾いていました
まぁ此の辺りの経緯は過去日記に少しだけ触れていますので、例によって其方をご参照下さい
「ちょっと悔しい」

で、まぁ未だにモーツァルトの良さが判らないのは相変わらずです
もしかしたら一生判らないかも知れません
只、此も何回か云っていますが、彼が天才であったと云う事は紛れもない事実だと、私も思っています
と言うのもですねぇ
一度、化かされて居るんですよ、モーツァルトに
今思い返しても、何と言うか、からかわれたとしか思えないんですね
あれも或る意味、モーツァルトが起こした奇跡だったのかも知れません

まぁ、半分騙されたように学生オーケストラに籍を置く事になりましてね
其れは良いのですが、問題は、私の上にも(当然)下にもContraBassを弾く人が、当時居なかったと云う事実です
なんつーか、天涯孤独?な訳ですよ
然も私は文字通りの「素人」ですから、ContraBassのCの字も知りません
「たった1人でどないせぃちゅぅうんや!」
と、多分今なら暴れる処なんでしょうけど、当時はまだまだ大人しい物でしたからね
「そうかー、独学かー、独りでやるのかー、或る意味気楽だなー(棒)」
で御座いましたよ
まぁ、もともと余り人付き合いは得意な方ではありません
特に体育会系の縦社会とかは激しく苦手なので、そう言う意味では文字通り気が楽でした
元来、気に入った事なら黙って居ても、勝手に突き進んで征っちゃうタイプなので、独りなのは気になりません
後は私がContraBassに興味が湧くか否か、です
で、結局その年の私はと言うと
学校が休みの日も、部活が休みの日も、毎日欠かさず部室に通い、独りでContraBassと戯れる結果となったので御座います
はい、めでたし、めでたし、、、と
しかしまぁ、流石に楽器と(+カバ-+弓+譜面台+バス椅子)教則本だけではナニカト限界もありましてね
当時(今もかな?)親密に交流があった某地元の工科大学のオーケストラから、ベース弾きの方に応援に来て頂いて居ました
で、この年の夏、今思うと本当に夢のような話なのですけど、其の某地元の工科大学のオーケストラと合同で「演奏旅行」なる物に出掛ける事になります
地方の小中学校を回り楽器紹介や一寸した演奏を披露すると云う企画でしてね
結構楽しかったです
子供達も間近で生の楽器に触れる機会は、なかなか無いと思いますので其れなりに良い経験になったのではないでしょうか
回る先が小中学校(主に小学校)と言う事もあって、演目は所謂「誰でも一度くらいは耳にした事がある名曲」が主体です
記憶を頼りに書き出すなら

ベートーヴェン交響曲第5番「運命」第1楽章
ワーグナー作曲「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲
ビゼー作曲「アルルの女」の「ファランドール」
スーザが作曲「星条旗よ永遠なれ」
ルロイ・アンダーソン作曲「Syncopated Clock・シンコペイテッド・クロック」
エトムント・アンゲラー作曲「こどもの交響曲」より「おもちゃの交響曲」

「Leopold Mozart - Kindersinfonie -Allegro- 」


ほうぅ、この記事を書くのに一寸ばかりGoogle先生にお伺いを立てて居たのですが、面白い事実が判明してますねぇ
実は此の「おもちゃの交響曲」ですけど、長らく作曲者が不明だったんですよ
世界中の子供達が知っていると思われるような有名な曲なんですけどね
色んな説があって、どれも決め手に欠けていたんです
私が現役の頃にはモーツァルトの父親(レオポルト・モーツァルト)が作曲したと言う事になっていました
事実この参考動画のタイトルも「Leopold Mozart」になっていますしね
その後、新展開があって現状こうなっているようですね
閑話休題

で、この演目リストの中にあのモーツァルトの名曲「フィガロの結婚」序曲も有った訳です

「Mozart - The Marriage of Figaro Overture (K.492)」
-Wiener Symphoniker - Fabio Luisi

(参考動画の指揮者、レヴァインと関連があるようですね ^^
 ふむなかなか堅実で良い音造りをしている様に感じました)

いやぁ、とんでもない曲です、此、、、
例の有名な冒頭なんですけどね
アレ、実は弦楽器がみんな一斉に同じ事をやらされて居るんです 
はい、「弦楽器全部」なので当然ContraBassも含まれます
然もSolo(独奏)とかじゃなくてtutti(合奏)なので、所謂「強制全員参加」ですよ
あのテンポであの旋律をあのデカイ楽器で(私に)弾けと!
鬼か! お前は!! 
いやぁ、モーツァルトを呪いましたね、あの時は ^^;
当然何度弾いても弾き切れません
インテンポじゃ無理なんで、兎に角音を正確に取ろうとテンポを落とすと、今度はリズムが狂うんですね
まぁ私が単にリズム音痴なだけの様な気もしますが、、、
八方塞がりでしてね
軽く泣きそうになっていました (笑
そんな或る日の事です
昼下がりの午後、地元オーケストラのチェリスト某氏が低弦パート(チェロ+Bass)の指導に訪れました
(当時は、月に何回かこうして地元オーケストラの方が代わる代わる指導にいらっしゃっていました)
一通りの通し練習が済んだ後で、某氏が「どこか弾けなくて困っている箇所はないか?」と仰有ったんですね
私は迷わず「「フィガロの結婚」の冒頭が弾けません!」と申告します
「ああ、アレね。 じゃ、一寸弾いてみて」
「はい」
其の後、奇跡と云うか、正に狐(否、モーツァルトに、だ)に化かされた、と言うのはこの事と言うか、な事が起こります
「ん? 弾けたじゃない。 じゃ良いね、ハイ次。」
「!!!!!!!?」

弾けちゃったんですよ、ノーミス、インテンポで! ^^;
何が起きたのか、弾いた自分が一番混乱しました
何で弾けたんだ? あれだけ弾けなかったのに! 然も物凄く自然に弾けたぞ!?
本当に「軽~く」弾けてしまったのですね
何の無理も抵抗も作意もなく、水が高い処から低い処へと流れ落ちるように、ごく自然に、当たり前のように「弾けて」しまったのです
そう、まるでモーツァルトの旋律のように

其所でふと考えました
ベートーヴェンは分解して練習する事が可能です
何故なら物凄く計算して、計算し尽くして、楽曲が構成されているから多少分解しようが、パートを抜こうが、全体は揺るぎません
でも、モーツァルトは違います
彼の楽曲に作意や作られた構成はありません
本当に音がただただ流れて居るだけなのです
だからテンポを変えたりパーツで練習する事が難しいのかも知れない
だったら、逆にその流れに乗れば私でも上手く弾けるかも知れない
その日は、朝からひたすらフィガロを練習していましたから、私のリズムが丁度フィガロになっていたんでしょうね

その後、何度も彼の冒頭を弾きましたが、あの時のような「流れるように自然な弾き方」で弾く事は二度と出来ませんでした
無論、まともに弾き通せた事の方が少なかったのは、言うに及びません
今思ってもあれは奇跡だったんだと思います
或いはモーツァルトが魅せてくれた一抹の夢だったのかも知れません
但し、個人的には「化かされた」が一番しっくり来ていますが (笑

そんな先日のある時、ふと思いたってセル/クリーブランド管の「フィガロの結婚」序曲を聴きました
まぁ、なんつーか 凄いですね、相変わらず ^^;
何でこんなに軽やかなんですか?
何でこんなに一糸乱れず揃って居られるんですか?
なんですか? このテンポは?!
どうしてこんな音が出せるんですか?
どうしてこんなにメリハリが利いているのに流麗なんですか?
プロとはこう云う物なんだ
流れに乗るだけの素人では無い、確かな技術と技量が有って始めてこの音が成されるのだ
此処まで来て始めて「モーツァルト」なんだな
と、改めて思い知った文字通り「真夏の夜の”夢”」です

因みに猫叉はメンデルスゾーン”も”苦手です ^^;
もう1つ云うなら二度とハイドンを演奏るのは御免です ^^;;

そしてやっぱり何時かは「モーツァルトの良さ」が解りたい自称「セルの弟子」です

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