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こんな聴き比べは如何?

クラシック愛好の醍醐味の一つに「聴き比べ」と云う物がありましてね
同じ曲を演奏しているのに、演奏者や指揮者が変わっただけで、全く違う曲の様に感じたりします
更に細かい事を言うなら
同じ「演奏者」「指揮者」「曲」であっても、其の録音された「場所(会場)」と「年代」が異なると其れは又違う演奏になったりします
然もストラヴィンスキーの様に後から「改編」をする作曲者の場合、その総譜の改編バージョンによっても物理的に異なって来ますしね
是で、コンチェルト(=協奏曲)となると当然「ソリスト」によっても変わって来ます
後、録音がライヴ音源なのかスタジオ収録かによっても随分変わります
是はどう云う事かというと、一つの曲に対して膨大なバリエーションが存在する、と言う事に他なりません
この膨大なバリエーションの中から自分の好みに合った物を捜したり選んだりする
是こそクラシックを聴く上での醍醐味であり最高の贅沢なのです

昔は今ほど情報が手軽に得られませんでしたから、皆ラジオのエアーチェックや月刊の専門雑誌に書かれている専門家のレビューなんかを参考にして選んでいました
自分の好みを効率よく追う為にも「贔屓の演奏者と指揮者」は欠かせない存在なのです
「贔屓の演奏者」と「指揮者」
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其れでも贔屓ばかりでは面白くない、と言うより「勿体無い」ですし、新しい(自らの嗜好の)方向性を確認するためにも多方面でのチェックは必要不可欠です
と言っても、矢張り試聴やエアーチェック、文字による参考等には限界はありますから、最終的には「自腹」でレコードを買い「自分の耳で全てを確認する」と言う手段を取らざるを得えません
だから外れた、或いは、外した時の「裏切られた感」は可成り強かったですね
軽い怒りと共に中古レコード店に叩き売りに行きましたから ^^;
逆に中古レコード店で御贔屓を見付けると嬉しい(=お財布的に有り難い)やら寂しいやら、ちょっと複雑な気持ちになりましたけどね

で、youtubeですが
此が、まぁ、何と云うか、実にお手軽に探せます
試聴も、し放題ですし
ワールドワイドで音源や画像が上がっていますから、検索方法や検索ワードを少し工夫しただけで(私にとっては)涙が著著切れる様な映像やら、見た事もない動画が次から次へと出て来ます
既に「資料だろう、此は!」的なお宝映像や音源もあってですね
改めてyoutubeの凄さを実感している所です
いやぁ、実に愉しいですね
何しろホラ「タダですから」ねぇ
懐具合を気にせず、幾らでも何時まででも遊んでいられるとか、文字通り大文字で「wktk」してしまいますよ
私が連日わぁわぁ大騒ぎしながらyoutubeサーフィンしているには、こうした訳と言うか、過去が在ったりします

でも、折角動画付きのyoutubeサーフィンですから、聞き比べるだけでは勿体ないお化けが出て来てしまいます
是非同時に「観比べ」も愉しみましょう
と言うことで、判り易い動画の典型例が有りましたので、蛇足ながらちょっとした解説を加えてのご紹介です

先ずは此方から
先日も取り上げた往年のイケメン3羽烏の1人、リッカルド・ムーティを少しだけ取り上げたいと思います

リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti) 1941年7月28日 生まれ)
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イタリア人の指揮者。シカゴ交響楽団音楽監督、ウィーン・フィル名誉団員。
1967年に若手指揮者のためのグィード・カンテッリ賞を受賞。
1972年からフィルハーモニア管弦楽団を定期的に指揮。
1980年から1992年までフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督に就任。
1986年から2005年までミラノ・スカラ座の芸術監督を務める。
2010年5月、シカゴ交響楽団音楽監督に就任。
バレンボイム、メータ、ポリーニ等と親交が深い。
また、カルロス・クライバーの数少ない親友でもあった。 by.wiki

後、彼のセルジュ・チェリビダッケが彼の才能を認めて居たようですね
>「恐ろしく無知だが」という前提だが「才能がある」と認めた。
 チェリビダッケが才能を認めたのはムーティだけである by.wiki
ふうぅ~~~ん 其れは其れは、、、なんつーか、色んな意味で凄いなw

世間的にも恐らくムーティ本人にもウィーンフィルとの共演が一番評価が高いのでしょうけど、私個人はフィラデルフィア時代のムーティが一番好みです
来日演奏会にも行きましたしね
(演奏後、舞台まで駆け寄って芍薬の花束を手渡したのは他ならぬこの私だったりするw)
後、wiki読んで初めて知ったんですけど、ペースメーカー入れて居るんですね、彼
この人も結構な熱血漢なんでちょっと意外、と言うか、心配になりました
まあ私が知っているムーティはフィラデルフィアと共に輝いていた頃の彼なので、今は違うかも知れません
が、こう言う「人の本質」って意外と変わらない物ですから今も「熱血」なのかもしれませんけどね
で、このムーティが彼のホームとも云うべきウィーン・フィルでボレロを演奏って居る動画を見付けました

「Ravel Bolero Muti/Wiener Philharmoniker」

ムーティ/ウィーン・フィルの「ライヴ音源」です
でもって、此はウィーン・フィルの特徴なんですけれど、楽団員が全員「男性」です
ウィーン・フィルは1997年に最初の女性楽団員(ハープ奏者)が参加するまで、楽団員は「男性限定」だったんですよ
然も在る地域に限っていましてね
今は少しずつ女性楽団員も増えて来ているそうですが、まだまだ現実は「”特定地域出身”の”男性”の園」なんですね
まぁ、ウィ-ン・フィルと言う物は、物凄く歴史、其れも結構過酷な歴史と伝統、格式と其れに伴う、と言うか、負けない恥じない実力のあるオーケストラですから、色々と「約束事」がありますし、有っても仕方がないと私は思っています
只、此も個人的な好みなんですが、、、
誰が振っても「ウィーン・フィルの音」になってしまうので、私自身余り関心が向かないのは事実です
実は、ムーティをフィラデルフィア以降聴いていないのには、こう言う下地もあります
そう言えば、仲の良かったオケ仲間(彼女はティンパニストです)に相当熱烈なカール・ベームのファンが居ましてね
当時ベームはまだまだ健在でしたから新譜が出るのですけど、その度に随分あれこれ論争した物です
懐かしいですねぇ
閑話休題
後、ウィーン・フィルと聞いてベーシストのみ成らず「此は外せない」と云う特徴が、舞台におけるコントラバスの「位置」です
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舞台最上段、金管楽器群の後に横一列でコントラバスを並べる、と言うか、並べられるのはウィーン・フィルだけです
あ、そう言えば、以前フィラデルフィア/オーマンディが此の配置で演奏している写真を一度だけ見た事がありました
何かのポスターだったかも知れません
まぁ、こう言う配置は可成りイレギュラーですし、実は演奏者側のデメリットも少なくないので「普通」はしません ^^;
此の配置がデフォルトになっているのは「ウィーン・フィル」だけです
是ってねぇ
実はベーシストなら誰でも一度はやってみたいと思う憧れの配置なんですよ
だって、単純に「格好良い」ぢゃないですか~(笑
実際には色々と難しい問題があるので、彼等しかやらない、と言うか、まぁ元々素人には到底無理なお話しなんですけどね
少なくとも私には一生出来ません、と言うか、その前にもうコントラバス自体まともには弾けなくなっていますが、、、orz
ライヴ音源なので、楽団員と指揮者全員が黒のスーツ姿です
実は此もちょっと変わっています
此の動画を見る限り、ムーティもウィーン・フィルの面々も燕尾服ではありません
従って、ネクタイも普通の物(柄は様々有りますがカラーはグレー系に統一しているようです)で蝶タイではありません
普通の演奏会では、指揮者も演奏者も燕尾服(テイルコート)を着、蝶タイをする事が多いように思います(女性はイブニングドレス)
此は燕尾服が夜間服装の正装だからだと思われます
では何故彼等が燕尾服ではないのか、、、
判りませんが、多分「ウィーンフィルだから」と言う気がします ^^;
動画を見る限り「定期演奏会」の録画のようですから、きっと此の服装が普段から彼等の演奏会における正装なのだと思われます

此の辺りを踏まえて次の動画をご覧下さい

「Bolero Mehta LPO」

何度でも言いますが(最近は其れに「縒りを戻そうか些か真剣に思案中」の一文も入るw)我が「元恋人」にして熱く闘う指揮者「ズービン・メータ」とロスアンジェルス・フィルの「ボレロ」です

ライヴ音源だったムーティ/ウィーン・フィルに対し、メータ/ロス・フィルの方は「スタジオ収録」での音源です
なので撮影もPV風に構成されていて一寸凝っています
演奏会ではないので、楽団員の服装もラフになり過ぎない程度に皆バラバラですね
さて、服装に注目ついでに演奏している楽団員達にも注目してみて下さい
ウィーン・フィルが男性一色、然も特定地域に絞った演奏者であったのに対し、ロス・フィルメンバーの多彩なこと!
黒髪長髪であったり、髭面だったり、人種や老若男女入り乱れて実に様々です
実は、メータは若い頃から現在に至るまでずっと一貫して若い演奏家、特に女性の起用にとても積極的な指揮者です
其れは恐らく自身が指揮者の世界では可成りマイノリティな部類に入る「インド人」と言う事も一因にあるかと思います
特にイスラエル・フィルとの熱い(些か熱すぎるw)関係はつとに有名です
実は日本とも何かと縁の深い指揮者だったりするんですよ
有名処で一番近い事では、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に遭遇した後の行動でしょうか
「2011年3月フィレンツェ歌劇場を率いて来日。11日に都内で東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に遭遇。13日に横浜で「トスカ」、14日には東京で「運命の力」を演奏したが、公演は同時に発生した福島原発事故の影響を危惧するフィレンツェ市長の帰国命令によって日程半ばで中止となった。報道機関の取材に対し「日本の友人たちのために何も演奏できず、去るのは悲しい」と涙しながら「音楽の力で人々を励ます場面が絶対に訪れると信じている」と言い置いて帰国。1ヶ月後の2011年4月10日、震災の影響で外国人指揮者の演奏会の多くがキャンセルとなる中、東京・春・音楽祭-東京のオペラの森-(2011年)公演においてベートーヴェンの「第九」を指揮。渾身の演奏で熱狂的なスタンディング・オベーションを巻き起こした。管弦楽はNHK交響楽団。公演の収益が全額寄付されるチャリティー・コンサートであった。「第九」演奏に先立ってメータのスピーチ及び震災犠牲者への黙祷が行われた。」by.wiki
まぁ相変わらずの熱血振りです
(でも、ベートヴェンは辞めて欲しい(嘆)合わないんですよ、彼とは決定的に ーー;)
何しろ湾岸戦争の時も当時、音楽監督を務めていたNY・フィルとの日程を全てキャンセルしてまでイスラエルに飛び、連日イスラエル・フィルを指揮した人ですからね ^^;
因みに2011年4月10日の公演に先立って発表されたコメントは此方
「今月のフィレンツェ歌劇場日本公演を無念にも途中で切り上げなければならなくなって以来、この偉大な国、日本を襲った未曾有の悲劇の後に、何かこの国の素晴らしい人々を助けられることがないかと考えておりました。 この度、厳しい苦境に立たされている多くの人々を勇気づける機会を与えてくださったNHK交響楽団、東京・春・音楽祭、そしてサントリーホールの皆さん、それにフィレンツェ歌劇場日本公演を主催したNBS(日本舞台芸術振興会)にも感謝したいと思います。2011年3月27日 ズービン・メータ」
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ああ、話が大幅に逸れてしまいました ^^;
矢っ張り何ですねぇ
なんだかんだ言っていても、未だに好きなんですねぇ (笑
縒り、戻すかなw
否、其れより先に「話」を元に戻す事にしましょう

指揮者の指揮振りも大きく違います
元アマチュアベーシストとして、一観客ではなく仮に楽団員だったら、としての視点で云うと、メータの指揮はとても見易いです
指示が明確で判り易いし、メリハリが利いているので非常に見やすいですね
此に対し、ムーティは普通、と言うか「堅実」ですね
派手さは無いけど、決して見辛くは無い(そして決して地味でもないw)
要所要所を押さえた非常に明瞭で無駄のない指揮振りは、流石です
此の辺り、指揮者本人の資質だけではなく、相手にしているオーケストラの特性にも大いに寄る所が有るとは思います
矢張り、歴史と伝統と実力のウィーン・フィルと、当時、新進気鋭で売り出し真っ最中だったロス・フィルとの差は決して小さくはありませんから
基本的に今や「売り出す必要性のない」ウィーン・フィルに今回のメータ/ロスフィルのような「パフォーマンス」は要りません
逆に、其れこそ後々「アメリカ5大オーケストラ(シカゴ交響楽団、ニューヨークフィルハーモニック、ボストン交響楽団、クリーブランド管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団)」と並び称される名オーケストラとして名を成したロス・フィルではありますけれど、まだまだこの当時は一介の地方オーケストラに過ぎませんでしたからね
これ位目立つ「色」を訴える必要が有ったとは思います
因みに私が今まで見た中で一番見辛かったのはカール・ベームで、判り難かったのはカラヤンですね
もう一つ云えば、私が今までで一番反発した指揮者は、アマオケ時代に振りに来た某T・T氏です
軽くボイコットした事があるくらい嫌いでしたね
或る合宿時の合奏での遣り取りです
T「ベース、今日は音が小さいようだけど、どうした?」
私「別に、、、単に疲れているだけです」
T「.....」
(楽団苦笑)
物凄くつっけんどんに言い放った記憶があります ^^;
因みにその時の演目はベートーヴェン交響曲第7番でした
譜面の奥の彼の人と同期の仲間達がハラハラしていたのを覚えています(笑
十人十色と言いますけど、オーケストラは通常3桁の人々が集り、指揮者の元一つの音を創り上げます
其れも大概は指揮者を筆頭に皆可成りのクセモ、否、非常に個性豊かな人達です ^^;
そんな連中が一つ事に取り組むわけですから、当然、色々と隠しても隠しおおせない、カバーしきれない様々な「色」が滲み出て来ます
否、事と次第によっては、滲むどころか全篇此「極彩色」と云う凄まじいモノになってしまう事もあります
と言う事は、愉しむ側からも様々なアプローチが可能、と言う事なんですね
その極彩色を愉しむか、否定するか、は、聴く側の自由ですから
自分の感性に合った物を求めて膨大な音源と画像の波、と云うか地層ですね、を丹念に掘り起こすのがクラシック愛好の醍醐味なのですが、こうやって掘り起こした画像も一寸ばかし其の背景を探ると色んな物が見えてきます
如何です?
クラシックにはこんな愉しみ方もあるんですよ
折角の動画サイトです
音を漁る、掘り起こす、だけでなく、是非一緒に映像も楽しまれては如何でしょうか


Severance Hall - Cleveland Orchestra
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