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宇宙戦艦ヤマト2199の考察 其の一

「女王陛下のユリシーズ号」(原題、H.M.S. Ulysses)と言う長編がありましてね
アリステア・マクリーンという英国(スコットランド)の作家が書いたのですけど
まぁ、マクリーンの作品では、ユリシーズよか「ナヴァロンの要塞」とか「八点鐘が鳴る時」の方が有名ですし、映画化もされていますから馴染みがある方も多いと思います
ユリシーズは、まぁ色んな意味で本当に救いのない終わり方をする話です

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「女王陛下のユリシーズ号」

初っぱなから暗い出だしですしね
この小説に出て来る旗艦ユリシーズの艦長、リチャード・ヴァレリーが色んな意味で沖田十三と被る所があると思っています
というか、まぁ、ぶっちゃけ
「沖田艦長が大好きな貴女なら、絶対ユリシーズのヴァレリー艦長が好きになれると思う!」
と実姉に勧められましてね
で、読んでみたら、正に其の通り!!だったと、、、^^;
どんな話かというとですね
「第二次世界大戦中、ソ連に援助物資を送る架空の輸送船団FR77とドイツ軍との死闘を、FR77の護衛部隊の旗艦、巡洋艦ユリシーズを中心に描いた作品」 by.wiki
舞台は北極圏の荒れた海です
ユリシーズの乗員は皆20ヶ月にも及ぶ任務の連続、然も全て極寒の地、で疲弊仕切っています
話はそんなユリシーズがスカパ・フローと言う英国の最北端に位置する軍港に入港し、錨泊している時に起こった「暴動」の報告を受けてやってきた、海軍本部のスター中将とユリシーズに座乗する艦隊司令官ティンドル少将、ユリシーズの艦長ヴァレリー大佐、同艦副長のターナー中佐、軍医ブルック中佐の5人が1室で対峙するところから始まります
結局ユリシーズは翌月曜日の朝ムルマンスクに向けて再び出港し、僅か1週間後の日曜日の朝ノール岬沖で撃沈されます
このお話はそんな1週間の壮絶な物語です
お話自体は可成りシビアで救いのない話ですし、色々と描写がリアルで読むのが辛くなる事もしばしばですが、登場する人物がみな実に個性的でとても魅力的です
またキャラクターの作り込みがとても良く出来ていて、ああ、こう言う人が居たらな~と思える登場人物が沢山居る反面、「けっ!怒」と思わせる人達も結構出て来ます
(のっけのスター中将なんか典型ですね)
そう言う意味でもバランスが取れていますし、登場人物達の強さと共に彼等の苦悩や失敗や弱さなんかも良く書き込まれています
戦記物というより壮大な人間ドラマと言った方が正しいですね
だからこそ、救いが無くとも「最後まで読める」のですが
ただ、読後感想は決して楽しい物でも愉快な物でも痛快なものでもありません
寧ろ虚しくて切ないです
ネタバレになりますが、結局ユリシーズは海軍本部の「意向」で、ティルピッツ(ティルピッツ (Tirpitz)は第二次世界大戦時のドイツ海軍の戦艦、ビスマルク級の2番艦)
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「ティルピッツ」

の、其れも結局停泊港からピクとも動かなかったティルピッツの、囮としての任に当たりますが、結果囮にも成れず「粛正」され沈んで逝く
読後、そう言う「いかんともしがたい無力感」が襲う、、、そんな小説です
で、此のユリシーズに出て来る「リチャード・ヴァレリー」なんですけど、絶対沖田艦長のベースの一つになっていると思います
(因みに銀英伝も絶対下敷きの1枚になってる)
そうですねぇ
沖田は元々物理学者という設定で年齢から言って再招集組だと睨んでいますが、このヴァレリーも再招集組ですし、文学や音楽に造詣が深い所とか、自分に決して容赦しない所とか、重病を押して艦橋に立ち続ける所とか、艦乗員からの絶大な人望を有している所とか、冷静沈着で常に平静を保つ所とか、まぁ色々と共通点があります
まぁ、ヴァレリーの方が色々と「人間らしい」のは、ユリシーズの方が可成り「組織」をキチンと描ている為だと思われます
常にヴァレリーの傍らにいて彼をサポートするターナー副長や、上官の司令長官ティンドルの存在
また彼等との遣り取りや口の悪い豪快な軍医との掛け合いなど、何もかも独りで判断を下し決断し司令を発せざるを得ない立場の沖田と違って、ヴァレリーの周りには常に役割を分担する「士官達」がいますからね
当然、ヴァレリーの弱さや苦悩を描く余地が出て来ます
事実上沖田には弱さを見せたり、苦悩を現したりする余地はありません
そんなヒマはないんですよ、彼には
リアルリゲイン(♪24時間っ闘えますか~♪)ですからね ^^;
まぁその辺りの詳しい解説はマイフレさんが答日記を上げて下さいましたから、其方を是非ご覧下さい

で、ふと思ったわけです
あ、もしかしてヤマトって「ユリシーズ」じゃないのか?と

そう言う視点で見てみるとなかなか面白い符号が一致します
メ号作戦が陽動作戦だった事は色んな事象から明らかです
然も恐らく全滅覚悟の掃滅戦だったと思われます
「撤退」と聞いた守が驚く件は、前日記纏めに書いた通りです
今までの沖田の闘い方から行けば「撤退」は至極沖田らしい判断でしょう
何しろ「明日の為に今日の屈辱に耐える」人なんですよ
「万に一つでも可能性を発見したら、其れを信じて冷静沈着に行動する人」なんですよ
にも関わらず守は「撤退?!」と驚いている
他にも、守が突撃して行った時、旗艦「きりしま」の艦長山南が「長官!」と沖田に呼びかけているんです
明らかに「一緒に行か無くて良いのか」と問うている
沖田の返事は「進路そのまま」
つまり「撤退」です
守が言います
「こんな所で死んではいけない人だ」と
こんな所=陽動作戦、と言う事ですね
最初から「還って来るな」と言う前提で有った事は想像に難くないです
そもそも沖田が此の陽動作戦と言う名の殲滅戦の「先頭」にいるのは何故か
「宇宙戦艦ヤマト2199」では既に波動エンジンの設計図はメ号作戦以前に届いており、ほぼ完成して居るようです
ならば、当然イスカンダルの所在や放射能除去システム(そう言えばコスモクリーナーDと言う名称は出て来ていませんね)の存在は知らされている筈
要は其れを取りに行くか否か、、、と言う事ですよね
取りに来るのなら、サーシャ=アマテラスで波動コアを届けるから受け取り、波動エンジンを完成起動させよ、と
で、沖田の戦術から行って当然彼は「取りに行く」派だと思われます
まぁ、一応物理学者(博士号も持っているようですね)という設定もありますから、科学者の目で見ても尚「行く」と判断したのでしょう
此の時点で自らヤマト艦長を志願していたかも知れません
これを、ですよ
何故わざわざ死地に追いやるか
然も殲滅戦の陽動作戦艦隊の司令長官として、ですよ?
彼に死んで来い、と言っているような物ではありませんか?
此処で思い当たるのは「反沖田派」の存在ですね
彼を快く思わない上層部が居るのでは無いか
或いは沖田本人と言うより、わざわざ遠路遙々イスカンダルまで行き、有るかどうかすらハッキリとしない「放射能除去システム」成る物を取りに行くより、波動エンジンや波動コアの有益な使い道(=他惑星への移住計画等)が他にあると考える人達、、、かもしれません
ならば当然、メ号作戦で都合良く沖田も戦死してくれれば、、、と考えるでしょうね
仮に生きて還ったとしても相当数の損害を出す筈
無事では済まない、済まさない、、、そんな所でしょうか
そう思って宇宙戦艦ヤマト2199の設定を良く調べてみました
お~や、ビンゴ! のようです
> 芹沢虎鉄(せりざわ こてつ)  国連宇宙軍・極東管区軍務局長。階級は宙将。55歳。 地球脱出計画(イズモ計画)推進派
にしても、凄いネーミングですな(笑)
幾ら「新撰組血風録」がベースとはいえ、もう少しなんとかならなかったのでしょうか ^^;
因みにCVは、コンボイ司令官で有名な「玄田 哲章」です

011801
「コンボイ司令官」

なんですかね
あの声でネガティヴな発言とか一寸似合わな、、、^^;
ああ、そうか! 「私に良い考えがある!」verですか!! そうですか、、、^^;;

と、なるとですよ、、、
ヤマトのあの目茶苦茶な組織系統や、沖田に対する嫌がらせとしか思えない人員配置
出港(抜錨?)直前に受けた攻撃で乗艦予定だった責任左官の大半を亡くしたと言う設定があったとしても、、、です
アレはもう正気の沙汰ではありません
是はもうね、あからさまな「沖田潰し」ですね
何しろ左官が居ません
沖田の下の高級士官っていきなり技術士官になっちゃいますから、、、
一応、真田さん(階級は三佐・三等宙佐)が副長を拝命しているので、技術士官と兼任するみたいですけど、後々古代進が指揮権の委譲を受ける事を考え合わせると、彼は本来「将校」では無いようですし
其の辺り是からどう描かれていくのですかねぇ
ただ、今回真田さんは第1艦橋で副長の仕事をしていますね
古代との絡みは是からどう処理していくのかな?

更に酷いと言うか、ご丁寧にと言うか「作戦参謀」すら居ません
と言う事はですよ
艦の運営も作戦の立案も実行も乗員の裁定も何もかもが彼の双肩に、彼の独りの双肩に掛かってきます
是って、沖田艦長が其れこそ文字どおり「何から何まで」「独り」でやらなくちゃ成らないと云う事です
もうぅね
死ぬ事処か休む事すらさえ許されない、そんなレベルです
然も、彼が倒れたら即、其れだけでヤマトが「路頭に迷う」事になります
其れって一体どんな重圧ですか、、、^^;
あ~、だから守が「残る」と言った時に沖田の口調が「説得」と言うより「嘆願」に近くなったんだな
「お前の席に座るはずだった男も、、、」と言う台詞から察するに、沖田は守を副官にと考えていたようですからね
然もメ号作戦、彼の一人息子も此処で戦死という設定ですしね
まぁ、後顧の憂いを断つと言う意味に於いても、息子と古代守を一緒に送り込んだ、と言う事は想像に難くないです

ユリシーズは味方からの援軍を全く得られないまま、無謀とも思える航海の末自沈しました
意図的に
潰された訳です
戦況も国力もそんな無駄な事をしている場合では無かったというのに
有能で人望有る将校を実質上殺しています
何人も
実は艦隊司令長官ティンドル少将、農夫ジャイルズと渾名される程陽気で逞しい海の男は、度重なる過酷な戦況に自艦隊を次々と奪われ、疲労困憊から判断ミスを犯し、ついには精神を病み、それ故の凍傷で両脚を切断する羽目に陥ります
最後は見守る仲間達に正気に戻った視線を向け「従兵、艦長に椅子を」と言って息絶えます
艦長のヴァレリー大佐は肺結核が絶望的に進行し、ユリシーズが自沈する前夜、病死して逝きます
「私は彼等無くして此処まで永らえる事は出来なかったろう、彼等こそ、およそ神が一艦長に授けられた最高の乗組員だ、彼等に私の謝罪を伝えて欲しい、全員あれほどまでに私に尽くしてくれたのに---それなのに、今私がこうして彼等を見捨てる事を、自分はどんなにかすまなくおもっている」と言いおいて
副長のビル・ターナー(すらりとした作りがまるで海賊のようと形容されている)も、口の悪い豪快な軍医ブルックスも、皆「無駄死に」して逝きます

流石にヤマトは此処まで酷くはない(色々と設定上)と思いますが、実質リアルでこう言う事が起これば先ず十中八九沖田はヴァレリーの二の舞だったでしょうね
然も、ヘタをすると艦長室で孤独死(過労死?)していたかも知れません、、、^^;

何か凄惨なお話になってしまいましたが、沖田なら、ま、やり遂げてくれると信じています
何せ、ホラ、他ならぬ「沖田艦長」ですからね
誰かもブログで書いていましたけれど、ヤマトって結局「沖田十三物語」ですから

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コメント

nahさま

有り難う御座います ^^
征途は友人お勧めNO.1だったのでまっ先に購入して読みました
個人的には藤堂明、守親子がお気に入りです ^^
その後、レッドサン・ブラッククロスのエヴァレット・ヒース艦長を経て今はウエワクに居ます ^^;

2199は可成り良く作り込んであるので、2章からは是非劇場に駆けつけようと思っています
後、3週間!
本当に待ち遠しいです ^^

投稿: LIN | 2012年6月 8日 (金) 11時28分

nahです。
コメントありがとうございます。
佐藤大輔、いいですね。(^^
ヤマトファンならぜひ、「征途」お勧めします。
なにせUSSニュージャージーのごとく大和、大活躍ですから
。(みてたらごめんなさい)
ではまた。
PS、YAMATO2199はBDもいいですけど
劇場の大スクリーンで見ても耐えられるデティールで
作りこまれていますね。
 また、「宇宙戦艦ヤマト2199の考察」にあった自衛官の方の
「抜錨!という号令はない」というのも、成るほどと思いました。

海洋小説で「ヒトフタマルマルに抜錨する」とかいう描写はありますが作業の状態の形容詞なのでしょうか。
実際は、アンカーアップとかアンカーアウェイとかいってますね。
ではでは。

投稿: nah | 2012年6月 8日 (金) 10時38分

nahさま、初めまして 
コメントを有り難う御座います ^^
バレンツ海海戦は、大昔に読んだことがあります
ホーンブロワーシリーズは興味があったのですが、基本がSF小僧なので結局「宇宙(そら)」の方に征ってしまい、彼の地でレムと出逢ったが為に其処から抜け出せなくなりまして、結局未読のままになっています
今回の2199絡みで某SNSの友人から、佐藤大輔とか林譲二を紹介されて今、ちょこちょこと読みかけています
なので、是からまた大戦中の英国海軍物語も色々物色して読んでみようと思います
バレンツ海海戦ももう一度掘り出して読み返してみようかな ^^

今後も2199のヲタ話を書き連ねると思いますので、宜しければ叉お立寄り下さい

有り難う御座いました

投稿: LIN | 2012年6月 7日 (木) 02時38分

はじめまして、nahと申します。
ユリシーズのヴァレリー艦長に魅かれた方なら同じく大戦中の北海物、ダドリ・ポープのバレンツ海海戦などごらんになられたでしょうか?(既見でしたら失礼しました。)
護衛艦隊指揮官であるシャーブルック少佐(この方もかなり
ひどい目に会いますが)も結構魅力的なかたです。こちらはユリシーズと違ってドキュメンタリーに近い血肉のあった人たちの物語なので面白いといったら語弊があるかも知れませんが。
大戦中の英国海軍物語ははまるとおもしろいですよ。
 (巡洋艦アルテミス/C・S・フォレスターもいいですね)
さらに18世紀のナポレオン戦争(ネルソン提督の頃です)の英国海軍ものなんか手お出すと奥が深すぎてひどいことになるかもしれません。(ドラマDVDになったホーンブロワーとかボライソー等)
 以上ついうれしくなって書き込んでしまいました。よけいなお世話でしたらご無礼を許してください。
では。

 

投稿: nah | 2012年6月 6日 (水) 17時20分

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