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冒険者たち

人様の日記の、更に人様のコメントに触発されての日記です(笑)
あぁ、HELLSINGのベルナドット隊長(此が又イイ男なんだなw)の紹介と新撰組のお話は何時になったら書けるのでしょう(哀)

ハイ、HELLSING同様、前提の確認を、、、
私がこれから取り上げようとしているのは「此方」です

『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』斉藤惇夫の児童文学作品
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最初に読んだのが何時だったのか、はっきりとは覚えていません
多分小学生の時に図書館で借りたのではないかと思います
主人公はガンバと呼ばれる”ドブネズミ”です

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主人公「ガンバ」とオオミズナギドリの「ツブリ」

これがまぁ、良く出来たお話でしてね
簡単に言ってしまうと、ノロイという名の白いイタチとそのノロイが率いるイタチ軍団とネズミ達の生死をかけた攻防を描いているのですが、どちらもそのキャラクターが本当に良く出来ている上に、色んな要素や事件、出来事が絡めてあってお話の最後の最後まで飽きさせない作りになっています

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宿敵  白いイタチ「ノロイ」

一応、児童文学のカテゴリーですが大人でも十分楽しめますよ
特に、ネズミ達の仲間割れや諍い、ノロイの心理戦等見所、否、読みどころ満載です
恐らく図書館なら何処でも蔵書として持っているのではないでしょうか
是非一読をお勧めいたします
因みに同じ作者でリスが主役のお話(『グリックの冒険』)とカワウソが主役のお話(『ガンバとカワウソの冒険』)があります

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      『グリックの冒険』 

 

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   『ガンバとカワウソの冒険』

非常に完成度の高い作品なので、アニメやミュージカル、更には舞台にもなっているようですね
只、私はどうしても最初に読んだ時のイメージと挿絵の見事さから「冒険者たち」は、この絵でないと駄目なんですね
異論は一切受け付けません、その辺りヲタの拘りです(笑)
挿絵は恐らく動物画を描かせたら右に出る者は、ほんの一握りであろう「薮内正幸」です

私は動物が好きです
大好きです
絵も好きです
だからこそ動物の絵の良し悪しにはとても拘ります
上手なだけでは駄目なのです
生き生きと画けて、尚かつ個性的で、更に正確でないと受け付けません(どんだけ上から目線?! 笑)
此処で言う個性的というのは、一目で「誰それの絵」と解ることを言います
何も奇をてらえば良いという物ではありません
正確に書いてさえあれば良いと言うのなら、学術書の挿絵を見ていれば宜しい訳で、ちゃんと描かれている生き物に個性や表情が無くてはいけません
その辺りのバランスが上手く取れている人は中々いません
大概は単に正確(写真を見て書いただけ)なだけか、デフォルメし過ぎ(某ネズッミーがそうですねw)ています
今まで様々な動物を画いた物を見てきましたが、私が認めるのは3名のみ
「手塚治虫」と「山口華揚」とこの「藪内正幸」だけです
手塚治虫の書く動物は動物でありながら人と同格の存在感を放ちます
恐らく動物だけであれだけ漫画が書けたのは、後にも先にも彼以外居ないでしょう
(『銀牙 -流れ星 銀-』を初めとする一連の高橋よしひろ作品は、私的には惜しい所まで行っているのですが、如何せん登場する動物の種類が限られ過ぎているのと、後年明らかにワンパターンに陥ってしまっています)
大抵の漫画やアニメに登場する動物は「刺身のつま」に過ぎません
あくまでも主役を引き立てる”脇役”なのです
それを堂々と主役を張れるキャラクターとして描ききれるか否か、人との絡みでも引けを足らないどころか逆に人を食ってしまう、そこまでキャラの立つ”動物”を画けるのは、個人的には「手塚治虫」だけだったと思っています

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 <ミューズとドン> 
SFネタのお話 ミューズと呼ばれる雌豹と山犬ドンが登場 

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 <鳥人大系> 猿の惑星、鳥verみたいな大河ドラマ仕立ての物語、だが笑えないオチがある
個人的に”モッズ警部”が好みだったのだが、此奴も負のジンクスに倒れやがったw

 

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 <シャミー1000> 一寸したSF小咄、題名は勿論”三味線”に引っかけてあります
手塚治虫ってこの手のオアソビが良く出て来るんですよ

       

山口華揚は動物画を好んで描いた日本画家です
私はこの人の絵となら何時間でも対話が出来ます
一番のお気に入り「生」
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牛なら奥村土牛の牛も捨てがたいのですが、華揚さんのこの絵にはもう溢れんばかりの生き物への慈しみが感じられ、どうしようも無く好きなのです
もう理屈の世界ではありませんね

有名な      「黒豹」        
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と   「凝視(ぎょうし)」
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さて、本題の「藪内正幸」ですが「この人の絵」と初めて意識したのは、某酒造メーカーが日本野鳥の会とタイアップして出した新聞の一面広告でした
新聞一面に描かれた「イヌワシ」のイラスト
それはもう強烈なインパクトを私に与えました
イヌワシの実物には逢った事が無いのだけれど、きっとこう(いう感じ)だ! と直感的に思いました
その一面広告はずいぶん長い間スクラップブックにして大切に保管されていたのですが、何時の間にやら散逸してしまいました
非常に残念です
その後、このタイアップ広告は何度か紙上を賑わしました
そのうちの一つがこれです

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藪内正幸の絵はその正確性において定評があります
何しろ専門書の挿絵にもなっている位ですから
ですが、彼の凄い所は「正確」なのは当たり前でそれだけじゃない所です
例えば冒険者たちには様々なキャラクターを持ったネズミ達が登場しますが、彼はそんなネズミ達をちゃんと描き分けています

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    準主役の「ヨイショ」

 
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  と    「ガクシャ」

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私の一番のお気に入り 「イカサマ」(耳に挟んだサイコロにご注目w)

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白いイタチ「ノロイ」との駆け引きに臨む「イカサマ」(上)と「ガンバ」(下)
 

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       洋上での死闘

ドブネズミの絵なのになんと生き生きとしている事でしょう
でも妙なデフォルメは一切していません
みんなちゃんと”ネズミ”です
でも、彼らの台詞が聞こえて来るような気がしませんか?

これは好き嫌いがあるので、あくまでも私個人の意見としてお聞き下さい
某有名ネズッミーは、擬人化に頼りすぎて居るような気がしてならないんですよ
人の様な”なり”をして、人の様に動いて、人の様に喋る
もはや其処には「ネズミ」はいません、必要ありません
ネズミだった「ネズッミー」が居るだけです、只それだけです
ならば、と意地悪な私は思います
ネズミである必要なくね?
ならばあえて「ネズミ」を表現しなくとも「ネズッミー」で良くね?
て言う事は「手抜き」なんじゃね? 
「楽」してんじゃね? 
「ネズッミー」に胡座かいてんじゃね?
、、、、、と(笑)
何故なら藪内正幸や手塚治虫の手法は、大変骨が折れるからです
どういう事かと言うと「人の形をしたネズッミー」を画けば良い、のでは無くて人の様なキャラクターを持つ「ネズミ」、を画かなければならないからです
それには「本物のネズミ」を知る所から始めなければなりません
まさに楷書を知って草書に臨む、訳です
実際、手塚治虫も藪内正幸並みの細密画が描けましたし、山口華揚は絵を描く前に彫像を造っていたと聞きます
藪内正幸の正確性については専門家の折り紙付きですしね
この辺りの感性は鳥獣戯画に良く表われているのではないでしょうか

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<鳥獣戯画>

日本の漫画やアニメの原点と言われる「鳥獣戯画」の精神は、こう言う所にも脈々と生きています
自然を調伏するのでは無く、野山の生き物達と共に自然の只中で生きてきた日本人の感性が、こんな所にこんな形を取って現れているような気がします
野の生き物達を「人型」に模すのでは無く、有りの儘の姿を受け入れ、更にそのキャラクターを尊重した上で、人を写す鏡とする
そんな感性を持つ日本人が誇らしくもあります

近いうちに「藪内正幸美術館」に行ってみたいと思う今日この頃です

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